有名な文学の冒頭『伊勢物語』昔、男初冠(ウヒカウブリ)して、平城の京春日の里に、しるよしして、狩にいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男かいまみてけり。 『蜻蛉日記』 かくありし時過ぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経る人ありけり。 『和泉式部日記』 ゆめよりもはかなき世の中をなげきわびつつあかしくらすほどに、四月十よひにもなりぬれば、木のしたくらがりもてゆく。 『紫式部日記』 秋のけはひ入り立つままに、土御門殿(ツチミカドデン)のありさま、いはむかたなくをかし。 『更級日記』 あづまぢの道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめける事にか、世の中に物語といふ物のあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間・宵居(ヨイヰ)などに、姉・まま母などやうの人々の、その物語・かの物語・光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。 『方丈記』 行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。 『平家物語』 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。唯春の夜の夢のごとし。 『徒然草』 つれづれなるままに、日ぐらしすずりにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。 『奥の細道』 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人なり。舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらへて老をむかふる者は、日々旅にして旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。 『曽根崎心中』 げにや安楽の世界より 今この娑婆に示現して 我等がための観世音 仰ぐも高し。 夏目漱石 『吾輩は猫である』 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。 『坊ちゃん』 親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事はある。 志賀直哉 『城の崎にて』 山の手線に跳ね飛ばされて怪我をした、その後養生に、一人で但馬の城崎温泉へ出掛けた。 ジャンル別一覧
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